理事長挨拶
2024年度 一般社団法人七尾青年会議所
第65代理事長 壁屋 俊輔
温故知新
~想いを紡ぎ未来を切り拓こう~
【はじめに】
本年は、一般社団法人七尾青年会議所が創立65年の節目の年となります。この、記念すべき一年を迎えるにあたり創立以来長年にわたり青年会議所の運動にご協力をいただいております七尾市・中能登町の市民・町民の皆様をはじめ、各種団体の皆様方に感謝を申し上げます。
七尾青年会議所は1960年6月25日に全国で189番目の青年会議所として設立されました。設立以来、地域の若いリーダーの先頭として、そしてその時代の先駆者として、七尾市・中能登町の発展に大きく貢献してきました。近年では、コロナウイルス感染症拡大における行動制限下での活動や一般社団法人への法人格の変更等、時代の流れと共に変化し、適応してきました。“できないからやらない”のではなく“今できることは何かを必死で考え実現する”。私は2020年に青年会議所に入会してからの4年間、この組織のメンバー一人ひとりの熱意が組織を動かし、そのひと固まりとなった熱量でまちを動かす姿を何度も見て、経験してまいりました。本年はメンバー一人ひとりが次の節目である70周年とその先にある未来に向かって今まで先輩方が行ってきた運動を今一度学び、吸収し、“創立65周年の記念年”として一つ一つの事業を大切にし、これまで七尾青年会議所運動を支えていただいた皆様方への感謝と七尾市・中能登町の明るい豊かな未来の為に運動を展開してまいります。
【創立65周年について】
本年、七尾青年会議所は創立65周年を迎えます。この65周年は60周年時に掲げた中長期ビジョン「Sustainable City Nanao ~心豊かな人々が幸せに暮らし続けるまち~」がこの5年間でどのような道のりを歩み、そしてどのようにして70周年に向けて駆けだしていくかを方向付ける大切な1年となっています。その中でも一昨年前となる2022年に我々七尾青年会議所は七尾市が掲げる2040年への未来ビジョン「里山里海未来都市~心豊かな人々が幸せに暮らし続けるまち~」の設立の後押しをさせていただきました。
創立60周年を迎えた2019年以降、コロナウイルス感染症拡大やロシア・ウクライナ問題、そして全国的に多発し、ここ石川県でも身近に起きている地震や大雨による激甚災害によって、人々の生活様式や思想などは大きく変化をしました。
そのような中で2023年にコロナウイルスの扱いが5類感染症となり、約3年ぶりに以前と変わらぬ社会活動を取り戻そうとしてきております。その当時、我々七尾青年会議所は世間が暗く閉鎖的になってしまった中でも、その時々でできる最大限の運動を模索してまいりました。日々考え、行動し、運動をおこなうことで、七尾市・中能登町のまちのあかりを消さない様、地域に住み暮らす青年たちのリーダーとして運動を展開してまいりました。このようなまちに尽力された先輩方が築き上げてきた熱意を受け継ぎ、これからもより能動的に運動を展開してまいります。我々、七尾青年会議所には、先輩方が築き上げた伝統をしっかりと受け継ぎ、時代の先を考え行動する先進性を持っています。アフターコロナの急速に発展する社会の動きを今一度見据え、七尾青年会議所として、七尾市全体の未来ビジョンを軸としながら七尾市・中能登町の5年後、10年後、そしてその先のビジョンを考えていく1年にしていきます。
【広域連携について】
私は七尾市に隣接する中能登町(旧鹿島町)に生まれ育ちました。中能登町の、しかも最南端の田舎町で育った私にとって、子供のころ親に連れられて歩いた青柏祭や、高校の時に毎日のように登下校時に通ったパトリアはまさに文化と都会の象徴のようなまちでした。
今はご縁あって七尾市に生活の拠点を置き、七尾青年会議所の一員として七尾市・中能登町のまちを活性化する運動に携わらせていただいておりますが、七尾市に深く関わればかかわるほど七尾の魅力がどんどん溢れてきていると感じております。また、私が活動の拠点としている中能登町は私と同様に物静かなおとなしいところがありますが、若い世代の青年たちが多く、これからも期待できるまちであると確信を持っております。
現在、能登地域の各所において人口減少が進み続け、問題となっております。2023年現在において七尾市の人口は48,000人となり、昨年年初に50,000人を割って以来、人口減少はさらなる加速を見せています。また、中能登町においても今年に入り17,000人を割り込むなど七尾市に比べ緩やかではあるものの人口は減少していっております。我々、七尾青年会議所が昨年掲げた未来ビジョンの最終年となる2040年には七尾市の人口は35,000人ほどになると予測されており、この減少数は今の中能登町総人口と同程度のものとなっております。避けることのできないこの人口減少を可能性に変えるために、今こそ、そこに住み暮らす人々や我々には何ができるかを考える時です。もともと七尾市・中能登町は1,000年以上前から共存共栄の道を歩んできました。現在もまた、様々な分野での協力体制を築いていることから、今後ますます“ジブンゴト”としてお互いに連携を強化しながら共存共栄の道を歩んでいく必要があると感じております。
そんな七尾市・中能登町の架け橋となる七尾青年会議所があるからこそ、2つの市町をより調和することでさらに魅力あふれる七尾・中能登広域連携を実現させ、これから生まれてくる子供たちの“当たり前”を作り上げる第一歩にしていきたいと考えます。
また、今年度は、のと5LOM(珠洲・のと・輪島・七尾・羽咋)合同例会の幹事LOMとなります。この役割を活かし、自分たちだけでなく他地域の青年会議所メンバーと一致団結して、能登地域全体の“明るい豊かな社会の実現”について真剣に考えていく機会を創出します。
【会員拡大について】
近年、若者人口の減少と共に多くの青年会議所において会員数の減少が問題となっております。我々七尾青年会議所においても、経験豊富な先輩が数多くご卒業され、更には新入会員の入会数の伸び悩みが危惧されています。我々青年会議所はその時代が求める先進的な活動を通して、この七尾市・中能登町において“明るい豊かな社会の実現”を実現する運動を展開してまいりました。そのような団体がこの地域から衰退・消滅してしまうことは、まちのリーダーの育成とまちの活性化にとって深刻な問題であります。そして、現在メンバーの年齢構成としては35歳以上が半数以上を占めており、また、入会歴としてはそのほとんどが入会5年以下のメンバーとなっております。頼れる先輩方が次々にご卒業され、不安に思う若手メンバーも多くいるかと思います。
しかし、会員拡大を行うにあたってメンバーの皆さんに伝えたいこと。それは“まずは自分たちでJC活動を実践してみること”です。我々が憧れた先輩方が必ずしも最初から能動的市民であったわけではありません。まずは活動の第一歩を踏み込んでみましょう。そして数多くある活動に参加してみて、その中から自分に合致するものを見つけ徐々に気持ちを高めていっても良いではないでしょうか?そのJAYCEEとしての活動が積重なり、その中で輝く個性が調和することでJCとしての運動が展開され、“明るい豊かな社会”を実現する。メンバーの運動を通して活き活きとした姿こそが多くの青年に伝播し、その活動意義を伝えることで会員拡大につながるものと信じています。
また、会員拡大運動を展開するにあたり、具体的な目標を掲げることが必要であると考えます。拡大運動については一部のメンバーのものではなく、会に所属するメンバー全員の共通認識として一年を通して志を同じうする同志を増やしてまいりましょう。
【青少年育成について】
まちづくりの原点はそのまちをつくるひとづくりである。コロナ渦での3年間、子供たちは行いたい活動が制限され思うようにできませんでした。3年という年月は中学生や高校生が入学してから卒業するまでのすべての期間でもあります。2023年5月、コロナウイルスの扱いが5類に緩和されたことで、消えかかったまちの灯りが再びともり始めました。
ただ、コロナ渦における生活様式や学び方の変化によりオンラインが普及したことで、オンラインを通して新たなふれあいができてきたことも一つの発展であったと思います。
多様性が叫ばれる時代であるからこそ、今を生きる子供たちが経験したコロナ渦での“当たり前”を否定せず、その中にもリアルの触れ合う事の良さを伝えながらアフターコロナでの運動を見据えた活動を展開してまいります。
リアルでしか経験できない緊張感や雰囲気を、今を生きる子供たちに伝えたい。子どもたちの成長にとって最も重要なことは「触れ合い」を通して、社会生活に必要な礼儀礼節や努力をする心、他者への思いやりを育むことです。多様な価値観が尊重される時代だからこそ、自分の行動に責任を持ち、自らの意思で学び、成長できる環境を提供することで、これからの未来の能動的市民の育成を行っていきます。
【出向について】
“半島の不利性”という言葉があります。それは国としての問題の一つでもあります。三方を海に囲まれている半島地域は独自性の文化を保有し、更には海産物や農産物の生産量が多いというメリットがあります。しかし、三方を海に囲まれているが故のアクセス性の悪さや内陸地に比べて人口流出の多さ等がデメリットとなっています。
そのような環境下で、能登半島の一部に属する七尾市・中能登町において、独自性の文化を残しつつも流行を取り入れ、地域に広げるにはどうしたらよいでしょうか?その一番の手段は自分から外に取りに行くことです。出向の目的はいくつかあります。一つは七尾だけにいては学ぶことのできない新たな発見とそれを通じて知り合う人々との出会いという出向者本人の成長です。二つ目は、そこで得た知識経験を自分たちのLOMに持ち帰ることでLOM自体の強化につながり、それによってより能動的な運動を展開できる要因となる組織・地域の成長です。2023年に酒井光博先輩が日本青年会議所の副会頭として出向され、それに伴い何名ものメンバーが出向したことで、七尾青年会議所内でもとても多くの日本青年会議所の動きを学び、それがLOMメンバーの成長につながったと感じております。今年度も七尾青年会議所メンバーの置かれた現状を踏まえつつ、個人の成長と少しでも多くの運動の種を七尾に持ち運べるよう出向者の輩出を行っていきます。
【組織運営と定例会について】
2022年より法人格を公益社団法人から一般社団法人とし、そして同年に賛助会員制度を設けたことで、様々な運営改革が行われてきました。一般社団法人になったことでより活動の自由度は増してはおりますが、だからと言って会としての規律を緩めては良いというわけではありません。今年度も守るべきものはしっかりと守り、変えるものは変えていく形はしっかりと継続をしていく所存です。この数年間で、長期に渡り会を支えてくださった先輩方の多くがご卒業をされました。これからは新しい理事役員メンバーを中心に、本来の組織の在り方や例会の意味と設えをきっちりと次の世代のメンバーに伝承していかなければなりません。そのためにもまず、会の運営の目的と設えを伝えるべく、メンバー全員による理事会への参加や定例会の運営を通して会の運営が一部の人間のものではなく、メンバー一人ひとりのジブンゴトとなるような活動を展開してまいります。そのためにもメンバーの参加機会を増やし、より多くの活動の機会を創出していく中で、“青年会議所としての基礎”を学ぶ必要があります。
そして、もう一つ大切なことは会の財政面の見直しです。一般社団法人への変革により事業の公益性についての対応が柔軟になり、より事業と財政について自由度が増しましたが、現在、七尾青年会議所の財源は厳しい現状となっております。
七尾市・中能登町の明るい豊かな社会を実現するためにはその為の運動をしっかりと行う為の適切な予算配分をしなければなりません。会の財政を自分の家庭や会社に置き換えた時、皆さんはどのような対応を取るでしょうか?そのためにはまず財政面の現状をメンバー一人ひとりが知る必要があると考えます。そして、収入と支出の流れをしっかりと分析し、どのようにそれを活用していくか真剣に考えなければなりません。また、それは会だけの問題なのかを時には地域の皆様方と協力し、そして今までも会を支えてくださっている七尾青年会議所シニアクラブの皆様方ともしっかりとした連携を取りながら運営面・財政面での強化を図っていく所存です。
【結びに】
私の人生の中で大きく価値観を変えた出来事があります。それは東日本大震災です。当時の私は2011年に発生した東日本大震災を関東地方で経験し、その2年後の2013年には宮城県で被災地の復興業務に携わらせていただきました。その時、現地で被災した住民の方々からかけていただいた「ありがとう」の言葉は、現在も建設業という“ひとのため”“地域のため”の仕事に従事している私の原動力となっています。震災という自分が一番つらい経験をされているにもかかわらず、相手を思いやる気持ちを持ち感謝をする。そしてその「ありがとう」にいかにして答えるかを考え、行動する。本来、当たり前のようなことなのかもしれませんが“本当にそれができているか?”と自問自答を繰り返すこともあります。
また、8月の中頃、中学時代の親しい友人に縁あって再会し、その時に彼から“お前、あの頃は熱量だけで動いていたよね”と言われ、ハッとした気持ちになりました。子供のころがむしゃらに“プロ野球選手になりたい”という漠然とした一つの大きな夢だけを必死に追い続けていたころの情熱を思い出すと同時に、その夢が叶わず、それから年を重ね紆余曲折を経て、いつしか“世の中の当たり前”といわれる枠組みに収まってしまっていたという現実を突きつけられた思いでした。
子供の頃の純粋で真っ直ぐな気持ちと、今、自分の周りにいてくれている方々への感謝の気持ちをしっかりと持つこと。その上で、七尾青年会議所65代理事長として七尾市・中能登町の明るい豊かな社会を実現し、その中で先輩方の築き上げた実績と熱い思いをしっかりと次の世代に紡いでいく所存です。
そのような地域のリーダーとして、今年1年を邁進していきたいと考えておりますので、皆様のご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。