理事長挨拶
2025年度 一般社団法人七尾青年会議所
第66代理事長 龍 香織
未来を想い、いま動く
~共に創る未来~
【はじめに】
1960年6月25日に設立された七尾青年会議所が65年という一つの節目の1年を晴れやかに迎えるはずだった2024年元日。16時10分に最大震度7を観測した令和6年能登半島地震が、私たちの住むこの地域に最悪の事態をもたらしました。まずは、令和6年能登半島地震によって犠牲になられた方々を悼み、謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご冥福を心からお祈り申し上げます。
震災によって壊された能登半島のまちの風景は、私が小さい頃から見てきたものとは程遠く、多くの命や財産が無慈悲に奪われていきました。街の再建どころか、自分の家に立ち入ることすらできず、否応なしに生活再建の選択を迫られ、長年住み続けたこの地域を離れる決断をされた方々もいます。そして、七尾青年会議所メンバーも例外なく、全員が被災したこのような状況で、果たして我々が目指す「明るい豊かな社会の実現」なんて本当に実現できるのだろうか。自分の手が届く範囲を守ることで精一杯で、必死に日々を過ごし、目を背けたくなるような光景を目の当たりにしながら、自分自身に問い続ける日々でした。
それでも、私たちが前を向いて活動を続けられているのは、これまで七尾青年会議所の歩みを紡いでこられた先輩方や全国各地の仲間たちからの温かい応援と迅速かつ継続的なご支援があったおかげです。この支えがあったからこそ、私たちは再び地域に貢献するための意欲を取り戻し、次なる一歩を踏み出せるようになりました。改めて、私たちのまちと心を支えてくださった全ての方々に、深い感謝を申し上げます。
私たちはどう足掻いても、震災前の「元の生活」に戻ることはできません。しかし、これを「地域を新たに創造するチャンス」と捉えることもできます。今、この地域には国内外から最先端の技術や知見やエネルギーを持った人財が集結しており、新しい可能性が広がっていることもまた事実です。私たちがそのタイミングを地域発展の機会と捉え、地域の皆様に寄り添いながら、域外の情報を上手く活かすことで、この地域に好循環を生み出し、より良い未来へと進化させることができるのだと確信しています。その渦を巻き起こせる原動力となれるよう、2025年も邁進してまいります。
【 コミュニティ再生と次世代への橋渡し - 地域の伝統と未来 - 】
コロナ禍や震災の影響を受け、地域のつながりや伝統・文化は揺らぎましたが、それでも私たちのまちには強い誇りがあります。七尾市・中能登町の伝統や文化は、今も住民一人ひとりの手によって大切に守られています。これらの伝統や文化は、私たちの心に深く根付く地域の誇りです。しかし、人口減少や若者の流出、コミュニティの分断という現実は、私たちが直面している厳しい問題でもあります。実際に、震災後、中能登町の人口は変わらないものの、七尾市の人口は令和5年12月の48,264名から、令和6年7月には46,979名まで減少し、例年の減少速度を上回っています。
私たちはただ過去を守るだけではなく、未来を見据えた新たな価値を創造していかなければなりません。そのためには、我々責任世代や次世代を担う若者たちが、地域に誇りを持ち、自らがまちづくりの中心となることが必要です。若者がシビックプライドを高め、地域の未来を自らの手で形づくるための成長の場を提供することが、私たち青年会議所の役割の一つであると考えています。こうした困難な時期だからこそ、地域を活気あるものに再生し、次世代へつなげていくことが求められているからです。私たちは、地域の課題に対して若者とともに挑戦し、彼らが未来を切り開く力を発揮できるようサポートしていきます。この地域の未来を支えるのは、若者たちの情熱と行動力であり、私たちがその支えとなることで、地域の明るい未来が実現するのだと信じています。
また、七尾市・中能登町の伝統や文化を守りつつ、地域全体の活性化に向けた復興を遂げるには新たな視点が必要です。そのためには、他の地域との連携が不可欠であります。東日本大震災や熊本地震を経験した地域からの知見を得ることで、私たちもまた、この地域の再生に向けたさらなる力を得られるでしょう。全国の青年会議所とも手を取り合い、知恵と経験を共有し合いながら、未来に向けた新たなステージへと共に歩んでいきたいと考えています。
地域の伝統や文化は私たちの大切な資産であり、観光資源としても大きな可能性を秘めています。七尾市・中能登町で、地域住民が試行錯誤しながら伝統を守り続けている、その姿勢は私たちにとっても地域全体にとっても重要な学びの機会です。今後、人口増加に転じることは無くとも、心豊かに幸せに暮らし続けることができるまちであるために、私たちは、この文化の灯を消すことなく、未来へと繋げるための取り組みを考えなければなりません。地域の伝統がより一層輝き、観光資源としても魅力を増しながら、地域全体の活性化に寄与するよう、柔軟な視点で挑戦を続けてまいります。
【 未来を紡ぐ地域の力 – 地域活性化の原動力と持続可能な組織運営 - 】
全国の青年会議所会員の平均在籍年数が4年未満という方が48パーセントを占める中で、いかにして持続可能な組織運営を実現し、地域に貢献し続けるかが大きな課題となっています。当青年会議所においても、会員数の確保は依然として最優先課題ですが、その背景には人口減少、事業所の減少、事業承継の問題、そして青年会議所自体のブランドイメージに関わる複雑な要因があります。
しかし、こうした課題に直面する中でも、私たちが長年大切にしてきた伝統事業や青少年育成に注力してきた取り組みは、この地域に深く根ざし、信頼を得ると共に地域の未来を担う若者たちに大切な価値観を伝え続けています。例えば、わんぱく相撲大会は子どもたちが仲間と切磋琢磨しながら、挑戦する勇気、他者を尊重する礼節、そして日々の感謝の心を育むことができる機会となっています。このような取り組みが地域の未来に与える影響は計り知れません。
そして、震災を通じて感じた他地域への支援と連携の重要性は、私たちの心に深く刻まれています。全国から寄せられた温かい支援と助け合いの精神は、地域再生の力強い後押しとなり、彼らの団結と行動力が、この地域を支える大きな原動力となり、私たちに多くの学びと気づきを与えてくれました。この経験を通じて、次は私たちが立ち上がり、この地域の復興と未来を切り開いていかなければならないという強い使命感を抱くようになりました。心の底から、この地域には青年会議所が必要であると感じています。
地域の活性化には、私たち青年会議所が中心となり、次世代のリーダーを育てることが不可欠です。より多くの仲間を迎え入れ、組織を強化することで、地域の未来を切り開く力を一層高めていかなければなりません。会員拡大は単なる数字の増加にとどまらず、地域に対する強いコミットメントを示すものであると考えています。
これからも地域に根ざした発展と成長の機会を次世代へと引き継ぐことが、地域の持続可能性を高める鍵となります。私たち自身も学び、成長し続けることで、より強固なプラットフォームとして地域に貢献していくことができます。私たちは、共に行動できる仲間づくりの機会を創出し、地域に寄り添いながら、未来を共に築く若者たちの育成に引き続き取り組んでまいります。
【 いしかわコンファレンス開催の意義と挑戦 -共生の未来に向けた地域連携の力- 】
2025年度、私たち七尾青年会議所は、石川ブロック協議会主催の「いしかわコンファレンス」を主管LOMとして運営いたします。このブロック大会は、単年度で運動を行う青年会議所にとって主要な発信の場となります。各地青年会議所からメンバーが集まるこの大会を通じて、七尾市・中能登町独自の文化や風土を実感していただき、改めて私たちの住まう地域への関心を高め、魅力を広く伝えられる絶好の機会として、地域の価値をしっかりと発信していきます。
このブロック大会の開催には、主に5つの重要な利益がもたらされるとされています。まず1つ目に主管益として、私たちのLOMが企画運営を通じて得られる経験とスキルの向上、また成果を積む機会となります。2つ目に、主催者益として、地域全体の組織力や連携が強化され、地域内の結束力を高めることができます。3つ目は地域益として、七尾市や中能登町の魅力を全国にむけて発信することができ、地域活性化に寄与します。4つ目は参加者益として、県内の青年会議所メンバーが新たな学びと感動を得ることができます。そして5つ目に、社会益として、地域の市民意識が変革され、全体の活性化が促進されます。
大会準備を進める中で、青年会議所メンバーのみならず、先輩方や地元の企業・団体との連携を図ることは、特に今後のまちづくりに向けた強固なネットワークを築く貴重な機会にもなると考えています。
震災からの復興が続く今、七尾市と中能登町は依然として困難な状況にありますが、地域の魅力を再評価し、その価値を広く伝えていくこともまた私たちの使命であります。全国の青年会議所の皆様との連携の重要性を深く実感した私たちは、この大会を通じて、その支えに感謝するとともに、今度は我々が地域の再生に向けて積極的に取り組むべき時であると強く感じています。困難な時期だからこそ、地域の魅力を再評価し、持続可能な発展を目指して全力で取り組んでまいります。
【 変化と伝承を支える未来への一歩 - 変革と継承でつなぐ持続可能な組織運営 - 】
この数年、七尾青年会議所を長年支えてこられた多くの先輩方が卒業され、私たちは新たな局面に立っています。これまでも世代交代は繰り返されてきましたが、現在私たちが直面しているのは、これまでにないスピードで社会や地域の環境が変化している中で、どのようにその変化に対応していくかという大きな課題です。
私たちは、時代のニーズに合わせた柔軟な思考と新しい視点を持ちながら、青年会議所の根幹にある理念を大切にしていかなければなりません。先輩方が築いてきた基盤の上に、私たちは新しい価値を加え、さらなる発展を目指していくことが重要です。例えば、アジェンダシステムの導入を通じて、メンバーの負担を軽減し、作業効率を向上させることで、地域課題にもしっかりと向き合える環境を整えることが挙げられます。
さらに、私たちが持続的に活動を展開していくためには、財政面での適切な管理と安定した運営が不可欠です。例えば、会員手帳のデジタル化で経費を抑えたり、事業活動において収益性を見極めたり、限られたリソースをどのように最も効果的に活用するかを考え、財源の確保に努めることも重要な要素です。会の運営に必要な資金を確保することは、地域に対する影響力を高めるための基盤であり、持続可能な発展を実現するために欠かせない課題です。特に、公益社団法人から一般社団法人へと法人格が変わり、これまで以上に自由度が高まった今、私たちの行動が地域や社会に与える影響はこれまで以上に大きくなっているはずです。この変化を積極的に捉え、持続可能な組織運営と地域貢献を両立させるための新しいアイデアやアプローチが求められていると考えています。また、理事会という会の重要な意思決定を示す場においても、状況や内容を見定め浪費を節し、青年会議所としての基礎をしっかりと築きながら、地域のためのプラットフォームとして、より強固な組織を目指してまいります。
このことにメンバーが主体的に関わり、共に学び、成長していくことが、地域に根ざした運動を継続していくための鍵であります。世代交代が単なる歴史の一部ではなく、新たな挑戦の始まりであると捉え、私たちは地域のために尽力し続けてまいります。
【 あなたと、共に創る未来 】
七尾青年会議所は、これからも地域の皆様と共に、新たな未来に向かって挑戦を続けてまいります。65年の歴史を持つ七尾青年会議所で、私は女性初の理事長として、新たな視点と柔軟な発想をもって、先輩方が築いてこられた伝統を大切にしながら、未来に向けた新しい価値を創造していきたいと考えています。
2021年に入会して以来、特に印象的だったのは2023年に出向した日本青年会議所での経験と、そこで築かれた人との繋がりでした。ここで得た経験や人脈は、私の人生や価値観を大きく左右するほどの貴重な財産です。そして、これらの経験が得られたのは、七尾青年会議所のメンバーが手厚く支えてくれたおかげだと強く感じています。人と人との出会いや繋がりの大切さを、これほどまでに強く実感した出来事は他になく、これからの地域づくりにおいても、この繋がりこそが鍵となると確信しています。
七尾市・中能登町の未来を見据えると、私たちが直面している課題に取り組むためには、地域内外のさまざまな方々と手を取り合い、共に歩んでいくことが欠かせません。地域外との連携を深め、異なる価値観やアイデアを新たな視点として捉えることで、この地域の新しい可能性を開いていけると信じています。私の強みは「人を巻き込む力」にあります。この力を最大限に発揮し、地域全体の活力を引き出すことで、将来、子どもたちが誇れるまちを残すために、全力で尽力してまいります。
結びに、この挑戦を支える原動力は、私を日々支えてくれている家族の存在です。夫や母、そして子どもたちの支えがあるからこそ、私は母として、妻として、経営者として、そして理事長として、地域の未来を見据えたリーダーシップを発揮できるのだと感じています。地域の未来を守り、育てることは、家族を守り育てる母の想いと重なるものです。私も一人の母親として、次世代が誇れる地域を未来に残すために、皆様と共に歩んでいきたいという強い想いがあります。日々の感謝の気持ちを忘れず、変化を恐れず、新しい挑戦に取り組むことで、七尾市・中能登町の誇りある未来を築いていけるよう、全力で努力してまいります。至らぬ点もあるかと思いますが、どうぞ温かいご支援とご協力を、引き続きよろしくお願い申し上げます。